考古学における空中写真(航空写真)の利用の歴史は古く、20世紀初頭から行われてきました。上空から遺跡とその周辺環境を撮影した写真は、調査研究の資料として非常に重要ですが、これまでの遺跡の空撮では、航空機に撮影者が同乗するか、大型ラジコンヘリコプターにカメラを搭載するしか手段がなかったため、わずか数葉の遺跡の写真を得る為に調査を一時中断せねばならず、また多大な予算が必要でした。
しかし近年の技術革新に伴い、高性能なカメラ搭載型の電動ラジコンヘリコプターが市販されるようになりました。UAV、あるいはドローンやマルチコプターともよばれるこうした最新機材が考古学調査に導入されつつあります。低価格で高度な操縦技術も必要としないため、調査に導入しやすく、これまでのように、調査終了間際に遺跡の全体像のみを撮影するだけでなく、必要であれば調査を中断することなく毎日でも発掘の進捗状況を上空から把握することが可能になりました。また、動画撮影も可能なため、調査状況をこれまでにない臨場感をもって記録することもできます。
最近では、写真から3Dデータを作成することも可能になってきたため、マルチコプターで撮影した写真から遺跡とその周辺地形の3Dモデルを構築して研究に利用しようという試みもなされています。当研究所では、ドローンの文化財調査への積極的な導入を図るだけでなく、ドローンを利用した文化財調査の技術開発を積極的に推し進めております。
ドローンを利用した調査成果については、近日中に公開させていただきます。